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神保町の保育所

Nursery in Jinbocho

神保町の保育所

2018 / Category: educational

東京の都心エリア、建物の密集する市街地に建つオフィスビル2階を「企業主導型保育所」とする計画である。「企業主導型保育所」とは、保育サービスの不足や多様な働き方への対応不足により、仕事と子育ての両立が難しいという現状を改善するために、企業が自社従業員のために独自に開設する保育所である。

保育所はその利用対象年齢や人数に応じて細かく面積や仕様がフォーマルに決められており、自由なプランニンが思いのほか難しい。そこで本計画では、フロアの中央に、どの学年のスペースとも(境界線の引き方によって)主張できるようなフリースペースを配置し、フレキシブルな運用を可能にするプランを提案した。

子ども達の自由な遊び空間となるこのフリースペースは、ジャングルジムのような杉材の格子フレームで囲まれている。格子フレームは、遊具としてだけではなく、収納や水回り、スイッチやコンセントなど、保育所をサポートする様々な役割を担う。フリースペースは、そこから周囲の 保育スペースや水回り、事務スペースなどにアクセスする動線のコアでもある。

本計画は内装のデザインであるが、建物の内側だけでデザインするのではなく、建物外部の都市も同時にデザイン対象としたいと考えた。そこで、格子フレームによるフリースペースを中央に置くことで、中心から外へ向かって子どもたちのアクティビティ密度がグラデーショナルに変化していき、建物の外へと自然とつながる空間をイメージした。

都市を環境の一部と捉えながら、多様な子どもの活動が生まれるきっかけとなる空間をデザインした結果、「オフィスビル内の保育所」という、東京にこれから増加していくビルディングタイプの一つのモデルを提示できたのではないだろうか。

主要用途: 企業主導型保育所
規模: 353.39㎡
住所: 東京都千代田区神保町
設計担当:雨宮知彦、細谷悠太
共同設計者:照内創/SO&CO.
電気設備設計者:櫻井由子/HEZERAF.LLC
機械設備設計者:小熊咲登子/HEZERAF.LLC
写真家:若林勇人

Nursery in Jinbocho

2018 / Category: educational

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